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ヨムカク

KADOKAWAとはてなの小説投稿サイト「カクヨム」専門の読み専レビューブログです。

カクヨムランキング初週5位以内全作品を読んでみた(前編)

カクヨムにランキング機能が実装され、順位が明らかになりました!

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あちこちで悲鳴や喜びや落胆の声が聞こえているみたいですね。

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僕はもちろん読者選考中期間、たっぷりいろんな小説にあれこれ言いたいと思っています!

さすがに全部は読み終えられなかったのもあり、一部は途中で完読を諦めてしまいましたが、まずは上位作品全チェックを頑張ろうと思っています。

なお、基本的には自分でスコップするほうが面白い作品に出会えるのが現状だなというのが正直な感想。上位作品だからといって、全部が全部おもしろいわけじゃないですね!

しかし、かなり面白いものもあります。

まずは「ファンタジー」「SF」「ミステリー」の3ジャンルで15作品を紹介します。

ファンタジー(全803作品)

1位 降魔戦記/佐都 一

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初登場1位がこういう作品なのはよかった。

真面目で熱い、剣と魔法の冒険ハイファンタジー。

90年代富士見ファンタジア文庫を彷彿とさせる、王道的作品ですね。どのように評すのが正解はわからないけど、主人公少年心を熱くさせるまじめなライトノベル。キャラの話し方が若干古臭いのが気になりますが……「~ぜ!」という話し方が個人的にはわりと戸惑います。英雄ダラルードは妙に男らしいなあ……。

しかし、ライバルの多いファンタジージャンルにあって、あまり奇をてらわない、王道のハイファンタジー的世界観を描きつつ、ありがちな軽薄さやご都合主義も少なく、好印象な作品です。応援したくなります。

幼いころ、ファンタジー小説を没頭して読んだときのことを思い出します。あのころ、あとがきを読んで、「ああ、この人はこの世界の神なのだ」と思ったのを今でも覚えています。その世界がほんとうに存在するのではないかと思わせてくれたからでした。

ファンタジーって、本来そういうものなのではないでしょうか。本作には、ファンタジーの原点に回帰させてくれるような、いまどきめずらしいくらい、少年少女に夢をみさせてくれるかっこよさがあります。

少年少女の心をわきたたせる、かっこよくて熱い冒険を目指している。

こうした作品が1位をとることができるのは喜ぶべきことですね。

2位 異世界取材記 ~ライトノベルができるまで~/田口 仙年堂

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「小説家が作品を書くための取材として異世界にいく」という面白い設定のメタファンタジー。

設定も面白いですし、会話主体でテンポが軽いライトな作品なので、軽く読めるのは良いと思いました。アイデアの勝利! まだでも大した文字数じゃないんですよね。この文字数でたくさん読まれているのはさすがだと思います。と思ったら、田口仙年堂さんて、プロじゃないですか……。まあ、プロでも参戦できる場所ですけどね……。

まあ、作者が読者でもあるカクヨムにおいては、特に楽しく読んでもらえるいい作品だと思います。

3位 豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい/グルグル魔

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苦手な作風だったので3話でギブアップしました。ごめんなさい。たぶん好きな人はいるでしょうし、好きな人も多いのでしょう……。

むちゃくちゃ星かせいでるけどそんなに面白いんですか……。ブクマまで稼いでるし……。

4位 マワル廻スロットガチャと異世界物語 ~奇妙なメンバーとの冒険譚?~/時野洋輔

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設定やタイトルに関しては、正直、読む前はげんなりしました。導入も1話でさくっと異世界に渡る流行のスタイルで、むちゃくちゃ狙いにきてる感じがひしひしとします。

人気のソシャゲを取り込んで、流行りをおさえているのは、戦略としては良いのかもしれません。展開や描写もそつなく読みやすさ重視。今のところあんまりオリジナリティは感じられないのですが、誰でも理解できるゲームファンタジー的世界観として良いのかもしれません。どうやらなろうでも人気作家のようで。

未完だし、まだ判断しづらいところもあります。げんなりしながら読み進めたゲーム的ネット小説が、実はすごく面白かったという経験は過去にもあるので、まだ今後の展開に期待したいと思えるところです。

5位 魚影〜廃墟に棲む亡霊〜/藤九郎

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なんでこれが激戦区のはずのファンタジーでこんな上位にあがってこれるわけ? 純文学にタグ振ってありますが、純文学としてもまったく面白くありません。作家を目指す人達が切磋琢磨する熾烈なランキングにこういう作品が入ってくるのはどうして? 1作1話の形式が、カクヨムのランキング計算に強いのでしょうか……。なにはともあれカテゴリーエラー。

SF(全401作品)

1位 横浜駅SF/イスカリオテ湯葉

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現在までに読んだカクヨム小説のなかでは、ぶっちぎりに面白い傑作です!

ダントツ。書籍でもこんなに面白いSFを探すのは、意外と難しいですよ! 横浜駅というダンジョンを、日本を覆い尽くした実際のダンジョンに見立てた独創的なアイデアがすばらしい! 作中に登場する「自動改札」や「Suica」など耳馴染みのあるフレーズが、奇想あふれるアイテムなどに変換されているのが読んでいて最高に楽しい作品です。

迷宮に挑む冒険モノとしての面白さも抜群で、手に入れるアイテムや現れる敵や仲間のキャラクターにいちいちわくわくします。センス・オブ・ワンダーのかたまり。文章力にも隙がない。これは書籍化しないと嘘です。いまよむべきネット小説。

2位 女子小学生二人が携帯ゲームをする話/理桜さん

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楽しく読めるかもしれませんがごめんこういうのはどうでもいいです……いやちょっとクスリと笑いましたけども! でもなんでこういうのを高評価するのかなあ……。野崎まど劇場的という評価もどうなの。野崎まどは好きですけど!!!

3位 いもうと・いん・ぶらっく/七色春日

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妹モノのちょっとエロい系ラブコメ……。ごめんなさいこういうの本当にすごい苦手……。すみません間違いなくターゲットになる読者ではないですね。読破は諦めました。

4位 秘密結社の最終判断/芥川虫之介

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これジャンルはSFなのですかね? 現時点ではSF読者よりもライトノベル読者を引き付ける作品ですね(あ、もちろん、SFとライトノベルは読者層が完全に分かれているものではまったくないんですが)。

文章は読みやすく、一部読者には好んで読まれる作品だと思います。個性的なヒロインを配置したいい作品じゃないでしょうか。まだなんとも言えません。未完だし、まだ2万字もいってません。この先がどうなるかではないかと思います。現時点ではいいスタートなんですかね。

5位 蒼穹のアルトシエル/犬魔人

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はっきり言ってまだほとんど何も起きてないし現段階で6,966文字。

それでここまで上位にあがれるってどうなのですか。と思ったらpixivからきた人なのですね。元からファンが多い人なのですかね。まあ正直、現時点では文字数が少なすぎるのでどうにも評価のしようがありません。レビューもたいしたこと言われてないし、どっちかっていうと人望かなにかで星が集まったのですかしら…。

ミステリー(全152作品)

1位 殺し合いハウス/くろひ/DAI

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いちおうちゃんと全部読みました。はい。

人によっては面白く読むことはできる作品なので評価しがたい作品です。異能でデスゲーム系。中学生とかにはほんと売れるんでしょうねこういうの。文章は下手。

しかし情報を伝えるためだけに文字というツールをつかっているという感じ。文章で評価する作品ではないと感じます。書籍化を考えるKADOKAWA側から見たとき、そこで大幅な減点ではないのかもしれません。文章は編集者が手直ししてもいいわけですし。

ストーリーは面白く読めます。エンターテイメント!

リアリティは完全無視、ゲーム的に面白く展開することをとにかく重視して書かれているという感じです。ニコニコ動画で動画作品として人気?らしいですが、疎いのでよくわかっていません。まあ、マーケティング的にも売れそうですけど……。

ただ……、もう完全に「個人的な好み」で言えば、好きではありません。

やっぱりここまで文章がだめなものは、好きになれません。僕自身がこの書籍のターゲットではない、というのは分かっています。確かにこれまでのデスゲーム系小説の流行とかを考えると、売れるのかもしれません。けれど、ミステリージャンルでトップとってほしくないですね。ミステリーがいちばん好きなジャンルだけに、ごく個人的に。作者には悪いんですけどね……。

2位 しにがみさがし/清水フィブリン

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現段階では、非常に口の悪い感想で恐縮ですが、文に関しては下手くそな劣化西尾維新という印象でしかありません……。

しかし……、西尾維新は売れているので、これはこれで人気が出る可能性はあるのでしょうか。好きな人は、いそう。戦略としてはもしかしたら正解なのかもしれません。でも、僕のセンスでは追いつけません……。実際、2位とか取れてるわけですから、あまり自分のセンスを信じがたい気もします。ただ、ミステリーなので、ひとまずちゃんと完結していただかないと、まだ判断はできないですね。

なろうでも活動している人みたい。

ちゃんと謎を書いている感じはあるので、もし今後、面白い展開になるなら、期待できるのかも? 現段階では、評価は保留かなと思っております。

3位 被告人は勇者様! ~異世界弁護士メアリーの事件簿1~ /大滝七夕

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文章はそつなく安定して読みやすくかけています。

どうやらリーガル・サスペンスを中心に書いている人だそうで。しかし、本作の舞台はおもいっきりファンタジー世界観。クリスタルクラゲの虐殺行為で罪に問われたのは、魔王を倒した勇者様という設定は、面白いかも!と思いました。

しかし……、単にファンタジー世界観でライトなリーガルミステリーをやっている、ただそれだけ。残念ながら個人的には面白くは感じませんでした。

ファンタジーとしては世界観含め凡百なうえに、リアルだからこそ面白いはずのリーガル・サスペンスが台無しになっているように感じました。web小説のトレンドである異世界というところにあわせてきたのかもしれないですが、普通に法廷ものやってくれたほうが個人的には楽しめたんじゃないかと思います。

ただ、どういうものがコンテストで勝つかなんて、正直わからないし、この作品もありなのですかね……この評価に自信はないです。

4位 Eureka ~ゴミ箱に尻を突っ込んでいた美少女探偵の名推理~/音無翠嵐(おとなし すいらん)

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Eurekaーーすべてわかった」「Eureka――数多の事象を繋ぎあわせて、蓋然性の海の中から私は、真実を理解した」……なんていう、美少女名探偵にふさわしい決め台詞もあってそこはとてもいいですね。

先生から不登校の少女の家に行くように言われるなんてスタートの展開はわりとベタなんですが、いやはやベタも悪くない。

しかし、じゃあミステリーとしてすぐれているかというと今ひとつです。

結構こなれた手つきで書かれてはいるし、どうやらご本人はこれまでの投稿歴ではちょくちょく結果を出しているよう……。

でも120件近いレビューを書いて上位にのしあがってもねえ……。この作者120作もレビュー書いてるんですよ。この短期間で、120作も。お前ほんとうに読んだのかよ。作品がすべてなので、行動で作品に評価はつけたくないと思いますが、こういう作者を応援する気にはまったくなれません。

5位 ノアの箱庭/上星(かみほし)

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今回、ミステリージャンルでは本作のようなSF/ファンタジー的世界観をおりまぜた作品はかなり多かったです。まあ、それは予想通りだったんですが。

そういう作品は得てしてミステリーをおざなりにしているか、SF/ファンタジー的世界観である必然性がないミステリーだったりすることが多いように思います。

しかし、本作はちゃんと物語内で用意した「魔獣」や「魂」という概念を、謎にちゃんと組み込んでいます。さらに、形式としても群像劇をとりいれていて、形式的にもミステリージャンルに野心的にとりくんでいると言えるのではないかと思います。

まだまだ荒削りなところが多く、パーフェクトな作品ではないと思うのも、正直なところ。それでも大変おもしろく読みました。

謎や真相にちゃんとファンタジー的な世界設定を活かしていること。ミステリーとして新しいことをやっていると評価したい気持ちです。次回作はもっとミステリーで頑張って欲しい。5位ですが、5作の中では一番高評価です。今後を読ませて欲しい作者です。

 


 

現状ダントツで面白いのはやはり、イスカリオテ湯葉さんの「横浜駅SF」です。この作品が1位をとったのは必然としか言いようがない。勝てないわけがない。

 

ただ、いまのところ、結論としては…

現状、ランキングはわりと信用なりませんよ!!!

と言いたいです。

 

エントリー作品も圧倒的に少ないので、ミステリー作家志望者は絶対狙い目だと思います。

僕は普段からミステリーの熱心な読者なので、ミステリージャンルでとにかく面白い作品に出会いたい! と熱望しています。残りのジャンルは次回!