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ヨムカク

KADOKAWAとはてなの小説投稿サイト「カクヨム」専門の読み専レビューブログです。

初っ端から反則級に面白い傑作SFダンジョン小説「横浜駅SF」を読め!

銃で撃ち合っているところに、ミサイル撃ち込まれました。

そのぐらい反則級にハイレベルな傑作SFがぶちこまれました。

kakuyomu.jp

 

横浜駅SF。いや他の作品ぜんぶ読んだわけじゃないが、ぶっちゃけこれもうコンテスト受賞最有力候補だろ。だってすでに書籍化してないのおかしくない? そんなレベルの面白さなんですもの。

もうすでに多くの人に見つかってしまっているし、完全にカクヨムが初出というわけではないようです。願わくば私ももっと早く見つけていたかった。どうやら去年の頭にTwitterで即興で発表した内容が発端らしく、これはtogetterでまとめられています。

togetter.com

なお、その後ご本人のTweetから分かるように、すでにブログ(tumblr)で一部を発表していた内容だそうです。

カクヨム初出新作というわけではなさそうなのですが、「カクヨム新作で完結済みから読むぜー」と言っていた自分ルールをさっそくやぶることにしました。

こんなオモシロSFに出てこられたら黙っちゃいられませんや。

あ、そうだ、事前に言ってたレビュー時の点数ですが…はい。いちおうつけますね…95点でお願いします。(当ブログの点数に関する説明はこちらを参照)

ちょっと! 初回は基準になってくるから、こんなに高い点数つけたくなかったのにー! 5点引くのすら迷ったわ!!!

実はweb小説の文脈をおさえている気がする

まあ本人の意図など聞かなければわかりませんが、この作品は、実は「なろう」で人気ジャンルと言われている「異世界モノ」の強さを踏まえているんじゃないか、という気がしています。

ゲーム的な中世ヨーロッパ風ファンタジー世界観を用いたファンタジー作品は、ネット小説を見渡せば数多く発見することができます。

そうした世界観が起用されやすい理由の説明として「『読者みんなが理解している背景』を利用することで、異世界の詳細説明を一部スキップすることができるから」という論が語られることがあります。

そうした論の正否はともかく、本作に登場する「Suica」や「自動改札」などのフレーズは僕たち日本に住む人たちなら、誰もがその役割やイメージを思い浮かべられるもの。本作の中でそれら固有名詞の意味は大きく変わっていますが、そうした固有名詞の存在が、「増殖した横浜駅が本州を覆い尽くしている」という荒唐無稽な世界観を頭のなかに思い浮かべる手助けをしているのだと感じます。

僕は従来から「意味不明な単語を説明なしに用いる」SFをたいそう苦手にしていました。しかし、本作は「鉄道の駅」という普段から身近な存在が異世界を構築するという独創的なアイデアによって、それをクリアしてくれています。

また、本作は、web小説の「異世界モノ」における一大ジャンル「ダンジョン・迷宮モノ」としても読むことができます。

横浜駅もそうですが、新宿や東京など、日本の主要な巨大ターミナル駅は、現実にまるで「ダンジョン」です。主人公はダンジョン外である「九十九段下」(このネーミングセンスも最高ですよね)から、「エキナカ」という「ダンジョン」に「18きっぷ」というアイテムだけで挑むのです。なかには「自動改札」という敵達がウヨウヨしてます!! 目指すは42番出口!

冒険の途中でJR北海道が送り込んだ工作員という仲間ができたり、めっちゃ強いアイテムを手にしたりと、本当に、ダンジョン冒険モノの面白さを盛り込んだ見事な作品になっています。

この面白さは、コンテスト受賞できなくて本にならないとか考えられないですね。というか、もうカドカワ以外の出版社から声が先にかかってもいいんじゃないでしょうか。

SF好きもそうじゃない人も! 異世界ダンジョン好きな人もそうじゃない人も! 鉄道マニアもそうじゃない人も! ぜひおすすめしたい一作です。

なお、本作は現時点でまだ連載中という位置付けで、公開後も新規のストーリーが追加されています。これからさらに読み進められるのが楽しみでなりません。

 

なお本物の横浜駅はこちら↓

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